10歳の青春の日々。

「ひょっとしてこれは恋?」と自問しながら、
ドキドキが止められなかったあの夏の日。

トイレに行くのも恥ずかしくて、好きな子に見られぬように校舎の端まで急いだあの秋の運動会。

あれから15年以上も過ぎた。
そして僕はひとりマレーシアの地に立っている。

あの時よりも僕は成長しているだろうか?
自意識過剰で何でも恥ずかしかった子供は、何を失い何を得たのだろうか?

いや僕は何も変わっちゃいない。
大人になったら自分が変えられるなんて、嘘だ。
何も変わらなかった、そう何も。

誰も自分を正してはくれないし、ましてや自然に変わっていくなんて事はない。だから現実に向き合って必死に生きていくしかない。

現実を見よう、現実を。

マレーシアには紙がない。
10歳のあの日、トイレを急いで探していたあの日から僕は全然変わってなかった。マレー系労働者がほとんどのこの工場にはトイレに紙が存在しなかったんだよ。

そう、必死で探したよ、必死でさ。

……いや、違う。
僕は成長している。
あの子供は変わっていたんだよ、
あれから……恥ずかしがり屋の僕から。

「紙のあるトイレはどこ?」
ってみんなに聞いて周る事ができたからね。

大人って強いんだね。
でも便意のほうが強かったかもしれないけれど。

それでもいいんだ。強くなれたから。

いいんだ、これでいいんだよ……多分ね。
そう思える事が大人になったって事なんだと思う。

……大盛り大盛り、すっきりぽんぽん。

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